福沢諭吉とウクライナ戦争

福翁自伝には幕末期のエピソードが多く書かれている。その中にロシア帝国の特異性を示す記事があり、それが現在のウクライナ戦争が引き起こされた要因に繫がる。

福沢諭吉先生は、幕府の欧州派遣外交団に入り、欧州各国を回った時、ロシアでだけ特殊な体験をされた。それは在ロシアの日本人がいて、代表団の世話を影で指導し、日本風の食事などきめ細やかに接待してくれた。ところが、或夜、その日本人が密かに訪ねてきて、ロシアの工作員になると有利なことが多い、という話を持ちかけてきた。勿論先生は問題にもしなかった。使節団の何人にも持ちかけていたかもしれない。当時、ロシアには、ドイツ人、イタリア人、英国人など多くの外国人が招かれていた。

外国人を工作員にして、世論誘導や、情報収集、戦時の協力者にすることは、孫子兵法書でも、重要性が強調されている。当時のロシア帝国は特に熱心だったようで、日本も植民地にしようと狙っていたようだ。

プーチン大統領は、ソ連の情報機関KGBの出身で、KGB長官になった時、外国人工作員獲得を専門とする部局、FSB第五局を作ったらしい。今回のウクライナ侵攻でも、事前準備として、巨額の資金を第五局に使わせて、ウクライナの政府、軍、政治家、財界人、マスコミなどの買収工作をさせたらしい。第五局は作戦大成功の報告書を提出。プーチン大統領はこの情報を信じて、ウクライナに電撃侵攻すれば、簡単に傀儡政権を樹立でき、欧米の介入前に、すぐにロシア軍は撤退させられると判断してしまったと言われている。

ところが実際には第五局の担当者たちはウクライナ工作に失敗し、工作資金は自分達で着服していた。レポートだけうまく行っていると報告、本当に戦争になると、バレてしまうので、戦争になりそうになると、ロシアの計画をアメリカに通報して、アメリカに戦争を止めてもらおうとしたらしい。

結局戦争になり、バレてしまい、第五局の人たち150人は、刑務所に送られた。

170年経ってもロシアのスパイ工作好きは変わらない。自分の得意分野で人間は大きい失敗をしてしまう。プーチン大統領もその例にもれないようだ。

ソ連がブレジネフの時日本侵攻を計画していたらしい。参照

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