山口昔話と大神様(1)

語りつぎたい「山口昔話」(和田健編集:山口県ふるさとづくり県民会議発行)という絵本がある。挿絵も立派で非常に力が入った本である。県の広報誌に連載された各市町村に伝わる民話を集めたものである。

田布施町周辺の民話には、大神様ご説法に関係するものも見られる。

①光市 牛が火事を知っていた うしもり明神

(要約)牛島のある百姓は牛を非常にかわいがっていて、働かせたあとは海につれていき体を洗ってやっていた。ある日牛は帰るのを嫌がったが無理に連れ帰った。その夜火事が起こり牛が焼け死んだ。何年か後、その百姓は牛の形の黒雲がその島を覆うのを見て、大火事が起こりそうと知り、皆に伝えたが聞く人はいなかった。そして大火事が起こった。その後も度々不審火があったので、人々は焼死した牛が祟っていると考え、神社を建てて弔ったところ、火事は起こらなくなった。

(大神様)昭和17年7月22日、北村家の納屋が放火され全焼した。北村サヨ様は、放火犯が分かるようになるという近所の霊能者の言を信じて、神参りを始め、多くの修行を経て3年半後に、宇宙絶対神の降臨になり、大神様になられた。この納屋の放火犯は、牛が焼死して祟られるのを恐れ、牛を納屋から出してから放火していた。