コナン・ドイルの心霊学
「コナン・ドイルの心霊学」コナン・ドイル著・近藤千雄訳は素晴らしい本である。
シャーロック・ホームズで有名なコナン・ドイルは元々は理科系の眼科医であり、作家として大成功し、後期には作家をやめて、心霊現象の研究に打込んだ。有名作家なので当時の有力霊能者を多数調べることができた。この辺は石原慎太郎と似ている。それによって得られた重大な発見、「人間には霊魂があり、死んでも霊魂は残り、しかも死後の世界で、霊魂は活動し、生き続けている」を人々に伝えるため、地元イギリス、米国、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ諸国を講演して回った。巨額の費用は自費で負担した。ドイルの心霊研究の著作は多数あるようだが、日本語訳されているのは本書のみのようだ。
ドイルがいかに頭脳明晰であったかよく分かる本であるが、訳者の近藤さんも秀でた心霊現象の研究家で、本書の注に多くの補足資料の紹介をしている。
ドイルの心霊現象に対する端的な態度を要約すると。
(第1次世界)大戦が勃発した。戦争というものは”生”を真剣に見つめさせ、一体何のために生きているかを改めて考えさせる事になった。毎日のように夢多き青春が満たされないうちに次々と散っていく若者の訃報に接し、またその魂が一体いずこに行ってしまうのかについて明確な概念を持たないまま嘆き悲しむ妻や母親たちの姿を見て、突如、心霊現象は、この世とあの世が繋がっていることを示す現象であり、この未曾有の苦難の時代に人類に提供された霊界からの希望と導きの呼びかけだ、と閃いた。
心霊現象の個々の詳細や多くの証拠探しが大事なのではなく、一つでも確実なものがあれば十分だ。それで唯物的人生観は否定される。人間には霊魂があり、死後も継続して生きる、その世界が霊界で、生きている人間は霊界と交流できる。現世の生活の意義とは、現世の生活が死後の幸不幸に直結していることで、霊界の中心に神様がある、これらが解るようになる。
心霊現象はドイル自身も沢山経験した。別の証言者にはリシエのようなノーベル賞受章者、クルックスのような最高峰の物理、電気科学者、Edmundsニューヨーク州最高裁判事など多数の信用ある第一級の人物も多い。彼らは心霊現象を科学的に否定しようとして調べ、却ってこれは本当にあると証言、それにより社会的名声を失い、科学界・法曹界などから追放されてしまった。
本書の献辞には
この上なく重大な真実性を証言するために、1848年のハイズビル事件以来70年に渡って嘲笑と世間的不遇を物ともしなかった、道義的勇気のあふれる人々に本書を捧げる。
第一次世界大戦が起きた霊的理由も書いている。
神から離れた人間の所業(ゴシップパーティにすぎない茶会、戦争崇拝、土曜の夜の酒盛り、党利党略に終始する政治、神学的詭弁)こうしたものと縁を切り、今こそ人類が危急存亡の重大な局面に立っていることを悟らせるための試練であった。いい加減偽善の仮面を脱ぎ捨て、真摯なる赤心と勇気をもって霊的真理の指示するところに従うべきだ、と教えるためだ。
また「キリストのような偉大な人物」の出現もありうると書いており、大神様はまだ神様として出現されてはいなかったが、当日30歳ぐらいで地上には立たれていた。ドイルの直感は正しかった。
参照 ジョセフソンの科学と心霊の統合について
https://umou.hatenablog.com/entries/2011/01/10
ドイルの時代には大きな奇跡が起きている。
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