高橋是清随想録 地上楽園の夢

今は、ひまがあると、都塵を葉山の別荘にさけて、おだやかな日には、うしろの山を散歩したして、仕事の事を考えている。毎日毎日の疲労が、その夜の夜の眠りで回復すると、今日もまだ働ける、と思っている。時には、何十万年か後かは知らないけれども、いつかは必ず、人間がみな神様になって、人類全体が一つの国民になり、__つまりは、人種とか国家とかの区別などを考えないようになって、この地上が楽園となる日のくることを、じっと想ってみることもある。

私は、神様を信じている。私の神様というのは、日本の八百万の神々をはじめ、釈迦も孔子も、また耶蘇も、すべてを含んだ神様である。人間、自分より上のものがないと、どうも自惚れていけない。自惚れが出ては、人間もおしまいである。神様を忘れると、人間が破滅するばかりである。

(注)耶蘇教とはキリスト教

(注)大神様「絶対なる神様というたら宇宙に一つしかない。神というも仏というも同じ。」