神は7日で世界を創った(スウェーデンボルグの著作)

 旧約聖書の初めは神の天地創造の話である。これは現代の物理の常識からあまりに遠いため一般には全くの作り話としか思わない人も多い。しかしこれは人間の精神の成長段階を表現した話であり、教会の成立の話であるとみると、すごい内容になり、成仏にいたる階段、つまり菩薩10地の境界の段階を解説した理論に見える。古事記とかも同じような文脈でみると面白いのだろう。この辺の決定判は『天界の秘儀』である。
 『天界の秘儀第1巻』 スウェデンボルグ 柳瀬芳意訳 静思社は是非買って読むべき本である。

 スウェーデンボルグはエマヌエル・スヴェーデンボリ、エマニュエル・スウェデンボルグ、スェデンボリとか日本での表記は統一されていない。日本とのかかわりでは、明治の薩摩留学生の中にアメリカに渡りスウェーデンボルグの教団に入って活躍した人物がいた。ブッシュ大統領一家の祖父も関係していたりとても面白いのだが、残念ながら今は紹介できない。(日本スウェーデンボルグ教会のホームページからのリンクに話があったのだが、現在はアクセス不能になってしまった。)森有礼鈴木大拙がスェデンボルグを研究している。内村鑑三もそうらしいが確かなことは判らない。

 スウェデンボルグを一言で表現すると、スウェデンボルグは『ヨハネによる福音書』と『ヨハネ黙示録』の著者であるキリストの最愛の弟子であったヨハネが生まれ変わりスウェデンボルグという名で出現された。新約聖書にキリストが、私を証しする真理の御霊が(将来)現れると予言した部分(ヨハネ:16.7-16.15)があったが、この予言された御霊こそ、スウェデンボルグであったとしか考えられない。とにかく彼の教説は圧倒的であり、完全であり、もれる所がない。伝記としてお勧めは 『スエデンボルグ』(鈴木大拙全集24)、『スエデンボルグの生涯』(柳瀬 芳意)

 スウェデンボルグの主要著作。

 1.『天界の秘義 全28巻 本の厚さ計:約64CM (柳瀬解説部分を除いて)ページ総計8897ページ 総文字数(日本語訳)大約745万文字
 大般若波羅蜜多経は600巻 10万ゲ(32文字=1ゲ)と比べると約2.3倍の分量である。日本語と中国語の表記文字数を考えればあるいは同等かもしれない。
内容は聖書の解説である。旧約聖書の創世記、出エジプト記を順を追って解説していくが、それに留まらず新約聖書の解説も随所に入っているし、人間の構造、宗教の退行過程、等それぞれのトピックを理解する上で必要な知識が何度も繰り返し解説されている。
 これをちゃんと読むことは人生目標となりうる程に大変である。従ってスウェデンボルグのことを良く読みもしないで、変な紹介をしている人は多い。ネット検索ででてくる記事の大半はそうであるという印象を私は持っている。(私も2度トライしたが読みきるまでの忍耐はなかった。最後の方は拾い読みだし、読んでる側から、前のことをどんどん忘れていった。)ただ残った記憶と印象はこれは神の言葉以外にありえないというものであった。とにかく”すごすぎる”のである。新約聖書で”あれ?”と判らなかった所が明快に説明された。法華経とか、般若経とかも何とか分かる気になる。聖書と同じことが書かれているように見えてくる。また密教のことも想像ができるようになる。また河口慧海の偉さが大変なものであるのが良くわかるようになる。天界の秘儀を読まないかぎり、仏教のお経を、宗教を(現代の物理、科学の常識を持つ)我々は理解できないと思う。

 2.『黙示録講解―遺稿』全11巻 本の厚さ計:約30CM (私は未読)
 ヨハネ黙示録の逐語的解説である。

3.『啓示による黙示録解説』 上下2巻 ページ数計1292ページ (私は未読)
 ヨハネ黙示録の解説である。黙示録講解―遺稿の主要部分をまとめたものと思う。

4.『真の基督教』 上下2巻 ページ数計1012ページ (私は未読)
 
5.『結婚愛』ページ数652ページ(私は部分読み)

6.『天界と地獄』 ページ数480ページ
 霊の世界の詳細が書かれている。北村サヨ(天照皇大神宮教の教祖)は1944年に”お前の体をかりるぞよ”と神が降臨して超能力を得、”天国と地獄を見える眼鏡をやろう”といわれ天国・地獄をまのあたりに見た。ダンテの”神曲”も同様であり、仏教の地獄、天国も同じである。本書は詳細を極めており、決定判といえよう。鈴木大拙も翻訳した。最初に読むにいい本である。天照皇大神宮教の経典”生書”を読むと、北村サヨの話とスウェーデンボルグの教説との微妙な一致が多いことに驚く。例えば人間の一生の記録は霊界の書物に記録され、それが最終的には一文字として表現されるとあるが、北村サヨは天の写真帳があり、人のすべての行為、思いは記録されており、自分は必要ならいつでもそれを開いて見ることができると言う。それにより誰のことでもわかると言い、事実そうであったようだ。

7.『霊界日記』全9巻 本の厚さ計:約23CM (私は部分的に少し読んだだけである)
 霊体験はスエデンボルグでは30年間ずっと続き、イエス・キリストが直接教え。啓示し、霊界のことを世人に伝えるため、スエデンボルグを使って各種の実験まで行った。例えばある特定の地獄の霊はどういう種類の害を人に引き起こすかを明かすために、体験実験がされた。主要な部分は天界の秘儀中に紹介されている。

8.『神の摂理』 ページ数372ページ
 鈴木大拙も翻訳した。最初に読むにいい本である。天界の秘儀の要約である。

9.『神の愛と知恵』 ページ数272ページ
 鈴木大拙も翻訳した。最初に読むにいい本である。天界の秘儀の要約である。

10.『新しいエルサレムとその天界の教義』 ページ数252ページ
 天界の秘儀の要約である。鈴木大拙も翻訳した。

 この外にも多数の著作があるが、いずれもこれらの要約とか、特定部分をまとめたものが多いようだ。私は柳瀬芳意先生を訪ねたことがある。