天声創刊号

天声は毎月発行の天照皇大神宮教の月刊誌である。発行開始は昭和29年1月(紀元9年1月)であり、大神様の第2回海外ご巡教(紀元9年2月11日ー紀元11年2月13日)の直前である。創刊号はアメリカに多く持っていかれ布教に使われている。1号から19号は大阪の瀬野直道氏が編集・発行人になっている。発行所は産興本社である。3号以降は本部編集部ができて編集に加わったようだ。20号以降は編集・発行人は北村義人氏(若神様)、発行所は天照皇大神宮教になっている。102号以降は教団機関誌と明記されている。
創刊のことばは
「ああ美わしの神の国 神のみ国は開け行く 神のみ国が開け行きや 悪魔の世界は消えて行く 早くお目々をさましやんせ お目々さませば神の国々」これは前大戦の惨害によって、全世界が混乱の極に達し、敗戦の祖国も虚脱狂乱の巷と化し去った日、極東は大日本国山口県田布施の片田舎の人々の心耳を打った、天来の福音であり、天遣の神歌であったのであります。斯くして天照皇大神宮教が人類救済、神の国建設の神意を以って、我が国土に生まれましてから早くも8年、今や、宇宙絶対の神の前には、人類悉く神の子にして、白人も黒人も、挙って来り信ず可き大法門は開かれ、人々は各々在家の生業に励み、魂を磨きつつ、神人合正の大易行道を教祖自ら、陣頭に立たれて宣教せられているのであります。
しかし世界は尚混沌として、末世の対立と冷戦を続け、人類は地上の平和を希求しつつも尚利己と我欲に迷って居ります。即ち神の国は互助相和の一つの世界である可きにもかかわらず、強国は、原子爆弾の研究と保留に狂奔して自らの利益守らざるを得ず、一歩誤れば人類滅亡の第3次世界大戦に突進せんとしつつある現状なのであります。
何たる無知!何たる邪悪でありましょう!
この時に当たり、新年の初頭、本誌「天声」の創刊号を世におくり得ましたことを神に感謝いたしますと共に、本誌が、神教弘布の平和原子爆弾ともなって、広く愛読せられんことを切願して止みません。
皆様!神は地上の経綸を人類に負託せられているのであります。老若男女を問わず、それぞれの立場に於いて神の使徒となり、人類救済、神の国建設の偉業に邁進しようではありませんか。謹んで皆様の御清福と本誌の発展を祈念し、創刊のことばとします。
最後のページは50であり、本部だよりと編集後記が出ている。
本部だより:「この道は盆も正月もない」大神様のみ教えにある通り、一刻の懈怠も許されない、毎日が人間磨きの場なのである。現職そのままで神に行く道に励む同志の方々は、いよいよ近まった大神様の渡米を前に、一日も早く神の国完成へと拍車をかけ修練にいそしんでおります。大神様の渡米準備のいろいろな仕事、計画も同志の方々の行ずる心によって進捗し、お留守中は決してご心配をおかけしない、一本立ちの神役者たるべく、ここのところ大神様の御渡米を中心として道場本部の一切が運転されているといってよいでしょう。その動きの中で注目されるのは数々の出版でございます。
生書英訳本:大神様の御渡米の際持参され彼地においてみ教えを弘められる一助にもと先年出版された生書がみごとな英訳本となって出版されます。この英訳にあたっては同志の方々のご苦心はもとより、ニコルス駐米神戸文化交換課長の献身的なお力添えがあったことは銘記さるべきでありましょう。2月5日発行予定であります。
アルバム:永らくお待たせしました写真集はいよいよ12月甘日発行の運びとなりました。(略)
天聲:何とすばらしい題名ではないでしょうか。これは新しく発行される雑誌に大神様自らさっと名づけられた題なのです。創刊号にふさわしい内容を盛って新しい同志に”み教え”の何たるかを具体的に、平易にお知らせする役割を持つものです。
後記:「天声」という題名を大神様にいただいて世の人のお役にたとうと大阪人が立ち上がっていよいよ第1号の発刊の段取りとなったことを読者諸兄と共に心から喜んでおります。4,50ページの小誌ながらいよいよ発行となるまでは大変で、手がけたものが世に出るということは何とも云えないそこにうれしさがあるものです。私達凡夫のすること故、大神様のみ心にはまだまだそいえないですが、今後とも全力でよりよいものを出版していく心算であり、「天声」と言う名にそむかず、神の国建設のお役に立ち得ることを願っております。最後に立派な原稿を寄せていただいた方々に心より感謝申し上げます。(一部省略まとめ)
(注)創刊号に蔵前警察署長の桜井基重さんが手記を寄せた。大神様を官舎に招き、ご説法をいただいた人で、日本開顕同盟主催の座談会(天声47号)に大神様のお供をされた有力な同志である。肚を作るとはどんなことか、無我の舞の本質とは、とか示唆に富む記事である。天声42,43号にも手記がある。最近では天声708号でご子息がご本部に参らて、桜井さんのことを語られた記事がある。
真心は誠心と表記されている。49号からは真心の表記に変わった。実相の世界とは現象界と霊界とを一本化したもので神の世だと書かれている。大神様の出現でそれ以前の「霊界と現象界は相応の関係」から神の国では一体化したことを意識していたのだろう。これでうなずけることが多くある。
なお表紙はカラー画である。若林四郎氏の作画。5羽の鶴は宗教誌天声が地上の5大陸に神行する様念願して山口県の鶴を取材して描かれた。表紙の天聲の字は2号から大神様の直筆の書字である。産興本社は今は不明であるが、当時社長が弘津肇氏(田布施出身)。紀元8年10月24日大神様は同社を訪問され弘津氏と面談、その後大阪中之島公会堂でご説法。この会場に弘津氏招待の大阪財界人多数出席。夜に堂島清交社倶楽部で産興本社主催の大阪の知名人の座談会にご出席された記録がある。大神様在米中、神教を米国知識階級に弘めるのに非常に貢献していたメイ博士(Dr. Leo Carlyle May)の要請により(博士の追加の神教研究論文の資料のために)日本同志に広汎なアンケートがなされた。その中に同志の体験した奇跡、神秘体験の項目もあり多数の体験談が集まった。その一部が天声に掲載されだしたのが18,19号である。この時が潮の変わり目になり、20号以降は大神様の指示で、若神様が編集長になり、出版社も広島の会社に変わり、教団直轄の月刊誌になった。