神言集

一般書籍で天照皇大神宮教の紹介をしている所で、参考文献として神言集1−10を上げているものがある。(日本人の深層意識:NHKブックス (414) )。私は過去にこの本で天照皇大神宮教を初めて知った。神言集とは、過去に販売されていて、今は絶版になった本で、大神様の説法集と思っていたが、全く見当はずれであった。最近古い天声を借りることができ、神言集の成立の経緯がわかった。
神言とは神の人間への教えのことである。大神様の肚に神様が入っており、大神様の口を借りて話された言葉(説法など)が神言。肚の神様とは宇宙絶対神でありそれは言葉で大神様に話し、大神様の口を借りて直接話された。これにより「神はみ言葉、み言葉は神」が実感としてわかる。とりわけ重要なのが神歌説法である。大神様出現以前にも神歌説法を聞いていた人物がいた。戦前台湾の生き神様といわれた塩浦なみは、自分に歌で教えられる神様がいて、そのままを取り次いでいるだけと言っていた。大神様出現により誰でも神様の直接の教えを聞くことができるようになった。様々な場面で神様は人間を指導され、それは天声に「証言記録」として同志の指導体験が掲載されてきた。そこにも神言がある。この天声に掲載された神言を、分類整理しようとした同志名賀石操さんがいた。(天声74号)日常生活の様々な場面で、大神様はこのような時どうなさり、どうすべきと教えられている。神言は膨大であるが、これを分類して読みやすく、探しやすくできないかと名賀石さんは考えご本部の許可を得て、それまでに出版されていた天声から、神言を切り出して、分類項目ごとに再配置して、本をつくろうとした。これが神言集編纂の始まりである。
宇宙絶対神天照皇大神宮とはどのような神様か。神のひとり子・大神様とはどのような方か。
神の国とはどのようなものか。どのようにして「建設」するのか。
神の国にいく神行の道とは。
魂磨きとは何をすることなのか。
伝道は何故するのか。どうするのか。
神教と他宗教とはどう違い・大神様はどう説かれているのか。
これらを知ることが神教理解の要点と考えて大項目を立てた。つまり、大神様:神の国:神行の道:共磨き:伝道:正教と邪教。これらの下に中項目・小項目を作って整理した。
正確なことは分からないが、紀元16,7年頃から神言集1が出版され、大神様在世中に2,3も出たようだ。その後も努力は続けられ4,5,6,7,8,9,10まで作られた。この作業をした人達は神言を何度も熟読したことで、神教をより深く体得できたようだ。
特に場面と人とに応じて適切な神言が浮かぶ。例えば新婚の人、老人、生活苦、病苦、職場での上司とのトラブル,等々この時大神様はこうご指導されたと浮かび、立派な指導者になられたようだ。
これらは最初は積極的に推奨されていたが、現今の感覚でみると、活字が小さいし、入手困難でもあり、積極的に入手して読もうという熱意は湧いてこないかもしれない。神言のソースは天声で、そこに出てくる神言を切り出したものだから、天声を良く読むのがまず先と感じる。しかもその天声は数百冊もある。この使い勝手を改良して、神言抄が作られたのだろう。
(注)仏教でも歌を歌い説法した人がいる。古代チベットの聖人ミラレッパである。彼の歌(法歌:グル)は今なおチベット人民の間で歌われ続けており、彼の歌説法は仏教詩集として残っている。当時のチベットでは「恨みは恨まざるによって晴れる」というような高尚な教えはなく、「恨みは呪術によって晴らす」。彼は裕福な家に生まれたが、父親の死後財産を親戚に奪われ、その恨みを母親から命がけで晴らすように願われ、呪術修行にはげみ、恨みの対象一族35人を呪術で殺した。さらに自分たちを殺そうとした村人の一年分の収穫を雹を降らすことで駄目にした。その後仏教に弟子入りし、反省懺悔の元、ヒマラヤ山脈の岩窟で座禅と祈りに明け暮れ、3年後食料が尽きると、いら草を食べて何年も修行した。殆ど裸で、ヒマラヤの冬を何回も越えた。この荒行により、無量の神通力と仏の悟りを開いた。ミラレッパの伝記を読んで分からなかったことが、天照皇大神宮教を学ぶと分かるようになった。ミラレッパの示した神通も大神様が多く示されたため、信じられるようになった。例えば病気の苦痛を他に移したり、何人もに分けて負担させたりすることなど。
(注)神教出版物で他に有名なのが「神行の手引 家庭と現職」。非常に優れた内容である。著者が誰かは不明であるが、推定できる作成過程の様子が書かれた天声記事はある(天声98号高田十五郎)。神言集と同じように、現職であれば、現職に関するご説法、生書での内容を抜き出して整理して組み立てたようだ。この一部は最近天声723号にも再掲された。