不殺生戒ーー殺す無かれ

不殺生戒とは殺すなという教え。人間の根本的な愛、他人を思いやる慈悲心を育て、なくさないための戒律。
わかりやすい戒だが、誤解も多いので紹介します。

罪の重さは
A.動機
B.殺す相手
により決まります。

動機が自己由来(憎しみ、盗むため、娯楽等)であると罪は重くなる。
自己由来でなく公共のためであると罪は軽いか、場合によっては善とさえなる。
例えば国家に害をなす者を殺すのは功徳になるという教えが仏教にもある。(ユウガ菩薩地の戒本、正法念経)
有罪が確定した死刑を執行するのは、正義を守るために必要で、不殺生戒にあたらないことは、慈雲尊者、河口慧海、等共に説いている。

殺す相手による差異
1.自分の親とか恩人、
  聖人、発菩提の人、
 を殺した場合、ほとんど絶望的なほど救いはない。逆罪ということで、救いをもたらす教えに出会うことすらなくなる。

2.人を殺す。かなり深刻に重い。ただ正等防衛とか、偶発的に殺したとか、命令されて殺したようなケースはやや軽くなる。

3.動物を殺す。この場合、動物が人に近い程罪になる。虫などは軽い。犬のほうが魚より重い。また何度も繰り返すと罪は重くなり、残忍の心から面白がって殺すようになると、さらに重い。

他人を悩ませるのも不殺生戒の違反になる。精神的に追い詰めることは助罪になる。
悪口・中傷により傷つけたり、財政的に不当に破滅させ、社会的死をあたえることも、不殺生戒の違反になる。

不殺生戒を守ることで、慈悲深くなる。
自分の寿命がのび、病気にかかりにくくなる。
死にそうな人を助けたりすると、さらにこの効果は大きくなる。
運がよくなる。
死後に地獄におちない。
生まれ変わった時に、強壮な体と長い寿命を得られる。