スウェーデンボルグと仏教信者

スウェーデンボルグの教説はキリスト教の人よりも仏教信者の方が入り易い。例えば

1.聖書を敬虔な信者が真剣に読んでいると、天界の天使がそれを聞きにくる。(スウェーデンボルグ
 仏教では釈迦佛は天使(例えば帝釈天=コウシカ)に説法しているお経が多数ある。お経は釈迦佛が僧、尼、ウパーシカ、ウパーサカ、信者のほかに天界の天使(=神々)の集団に囲まれて彼らに教えを説く場面から始まることが多い。釈迦佛の主要な説教相手は天界の天使なのである。

 2.天界には方位があり、特定の天使は常に同じ所に現れる。中心はキリストである。(スウェーデンボルグ
 仏教のマンダラの図面は天界の図であり、特定の仏(天使)は同じ位置に書かれる。例えば文殊菩薩はいつも南方である。華厳経善財童子は南方に行って文殊菩薩に会い教えを受けることが書かれている。南方とはスウェーデンボルグでは真理、理知、智慧である。智慧の神である、文殊菩薩とピッタリの位置であることがわかる。文殊菩薩の剣は煩悩の無知(誤謬)を斬る理知の光である。

 3.天界には言語がある。(スウェーデンボルグ
 真言宗での最重要経典である大日経には天界の言語の解説部分がある。
 aは不生である。仏心に住する。
 kaは思想と離れ、欲と離れ一切法門である。
 khaは虚空と等しく不可得である一切法門である。
 gaは一切衆生不可得である一切法門である。
 ghaは一に集合すること不可得である一切法門である。
 など、詳しくは『蔵文和訳大日経』(河口慧海)またチベットのお経の分類は”ba"部、とか”va”部、とか言語分類である。
 hについてスウェーデンボルグは詳しく解説している。それはアブラハムの妻サラがある時からサラー(sarah)と呼ばれなくてはならなくなった聖書の記事の解説のためである。hは聖なる意味という。なるほどbuddhaとhが付いている。河口慧海チベットに行ったときチベットの言明学に異常なほどの関心を持ち続け母音が4つか5つかを問題にしていた。何かこの辺にヒントがあるのだろうか?

 4.天界には図書館がある。(スウェーデンボルグ
 空海が四国修行で目標としたのは、虚空蔵である。虚空にある記憶=図書館(釈迦佛が霊界に記録した説法集)から神通力で読み学ぶ力を得ようとしていた。お経のなかにこれを”コウシカ”に託すというものがある。コウシカとは天界の王である。こうやって霊界に記録された大量の”お経”を後世の聖人が三昧に入って読み出したものが、いわゆる大乗経典である。大般若経華厳経、大涅槃経、法華経等である。

 5.天的天使は霊界では愛から炎につつまれ、理知から輝く光が発しているように見える。(スウェーデンボルグ
 仏像からは炎と後光がさしているように作られている。