苦しみの分類

人間が一生に受ける苦しみを分類した人(神)がいる。釈迦佛である。
1.生存の苦しみ。生活苦とかお金を稼ぐ苦しみ、借金苦などがこれである。
2.老いて行く苦しみ。体が思うように動かなくなる。頭も衰え、どんな化粧品を使っても容色は衰えてしまう。若い時の輝きは失せる一方である。会社でも、社会でも活躍の場はどんどん失われていく。歯も髪も抜ける。
3.病気の苦しみ。胸が痛み、骨が痛み、体はガンでどんどん蝕まれていく。高血圧とか、糖尿病とかで思うような食事もとれない。夜中でも安眠できず、床ずれで体中が痛む。咳が絶え間なく喉は引き裂かれそうに痛む。足が不自由でトイレにも行けない。。。。
これらすべて病気の苦しみである。
4.死の苦しみ。自分の死が迫ってくることを予感して恐れおののく。ガン宣告された苦しみはこれである。死自体の苦しみと、その恐れの苦しみがある。この死の苦しみが、すべての苦しみ中で最大であるらしい。
5.愛する者を失う苦しみ。愛児をなくしたり、妻を亡くしたり、夫に死なれたりする苦しみがこれである。
6.欲しいものを得られない苦しみ。課長になりたくてもなれない。好きな人がいても結婚できない。正社員になりたくてもなれない。賞を取りたいのにとれない。いい奥さんが欲しいのに自分のははずれだ。。等たくさんある。
7.いやな人に会う苦しみ。上司とあわずにとことん苛められる。客の横暴に苦しめられる。隣人が極端な変人で大変迷惑する。暴力団にたかられ続ける。教師が子供の親から難癖をつけられる。為政者が極端な圧制をひいている時代に生まれる。
対人関係の苦労がすべてこれに当たる。仲の悪い夫婦の苦しみもこれにあたる。
8.ノイローゼの苦しみ。鬱病の苦しみ。自分はこの苦しみは良くわからない。
昔、会社の同僚で鬱病のため長期休暇を取っていた人がいた。体はどこも悪くなさそうだし、会社公認で休めているのだから、旅行でもしまくっているのだろうと我々は思っていた。ところが本人は部屋から出ずに、カーテンを引いて籠もりきり、ひたすら食べて、すっかり太ってしまった。”蓑虫さん”と呼ばれてしまった。よほど苦しかったようだ。

これらをまとめて四苦八苦という。
http://gogen-allguide.com/si/shikuhakku.html

約2500年前に説かれた苦しみ分類だが、現代でもそのままに当てはまる。
自分が苦しい時、この分類を思い出し、どれに当たるか考えると少しは笑える。少なくも自分だけが苦しい思いをするのではなく、万人がそうであることに気づくだけでも楽になる。

チャプリンの映画”サーカス”を見るとして、出ている俳優は今はほぼすべて死者である。曲を演奏している人も、作曲した人も死んでいる。配給した映画会社の当時の社員も死んでいる。80年も前だから当時の大人はすべて死んでいる。
クラシックの曲を聴いても多くの作者、演奏家は今はいない。若き歌声の主も死んでいることが多い。
身の回りの多くの物も、創った人々は今はいないことが多い。
我々は死者と共に生きているようだ。